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療法士が大学院に進学せずに研究力を高めるには

Makoto KYOUGOKU
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京極真
京極真

本記事では「臨床現場で働く療法士が、大学院に行くことなく研究力を高めるにはどうしたらよいですか?」という疑問にお答えします

本記事のポイント
  • 自力で研究できるようになりたいならば、大学院が最短ルートです
  • どうしても大学院に行かずに研究力を高めたい人は本記事に示した数値目標を達成するようにしてください

※大学院進学に関して記事を以下にまとめています。大学院進学を考えている人は参考にどうぞ!!

療法士からよくある大学院関連の質問

現場で働く療法士から大学院進学について、たびたび相談を受けます。

その中には、大学院に進学せずに研究を進めるのもありか、というものがあります。

ぶっちゃけた話、研究するだけなら、大学院に進学せずとも、研究者とコラボすればどうにかなります。

また、親切な研究者とタッグを組めば、研究論文の大半を執筆してくれるでしょうから、研究論文の掲載も何とかなるもんです。

問題はそれでその療法士が、自立した研究者になれるか否かです。

ここでいう自立した研究者とは独力で研究を完遂できる状態を意味します。

で、上記の問いに対する答えですが、それは相当難しいかも、というものになります。

自立した研究者になるためには、それ相応の訓練が必要です。

大学院生に課せられた最低限の数値目標

例えば、うちの場合、修士課程は所定の単位を取得するほかに、大学院生には研究を遂行するうえで、毎年最低以下の数値目標を達成するように伝えています(他にもありますが割愛しています)。

修士課程(博士前期課程)の数値目標

  • 英語論文は年間100本以上読む。
  • 日本語論文は年間100本以上読む。
  • 研究テーマに関する専門書は英語と日本語をあわせて年間5冊以上読む。
  • 研究方法の専門書は英語と日本語をあわせて年間5冊以上読む。
  • 国内外の学会で年間1回以上発表する。
  • できれば在学中に国内外の学術雑誌に1回以上投稿する。
  • 博士課程で大学院生に求める最低ラインは以下です(これも他にもありますが割愛しています)。

博士課程の数値目標

  • 英語論文は年間200本以上読む。
  • 日本語論文は年間100本以上読む。
  • 研究テーマに関する専門書は英語と日本語をあわせて年間10冊以上読む。
  • 研究方法の専門書は英語と日本語をあわせて年間10冊以上読む。
  • 国内外の学会で年間2回以上発表する。
  • 学会誌に年間2本以上投稿する。
  • ほとんどの院生は上記の数値目標をクリアできているようです(たぶん)。

これでも少ないぐらいで、厳しいところはもっと高い数値目標を掲げているはずです。

自立した研究者になりたければ大学院が最短ルート

本来、大学院は研究の訓練の場です。

なので、教職員からプレッシャーやサポートを受けながら、こうした数値目標を達成するために努力し続けることになります。

研究するだけならば、大学院に進学せずに、研究者と共同でやればどーにかなります。

自立した研究者になりたかったら、しっかり機能している大学院に進んだ方がいいです。

でも見方を変えると、最低でも上記の数値目標をクリアできるぐらい独力で訓練を積めるなら、大学院なんかに行かずとも自立した研究者になれる可能性があるかもです。

まぁ他のパラメータの影響もいろいろあるのでわからんですけども。

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著者紹介
京極 真
京極 真
Ph.D.、OT
1976年大阪府生まれ。Ph.D、OT。Thriver Project代表。吉備国際大学ならびに同大学大学院・教授(役職:人間科学部長、保健科学研究科長、(通信制)保健科学研究科長、他)。首都大学東京大学院人間健康科学研究科博士後期課程・終了。『医療関係者のための信念対立解明アプローチ』『OCP・OFP・OBPで学ぶ作業療法実践の教科書』『作業で創るエビデンス』など著書・論文多数。
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