【事実】これから作業療法教員になるメリットとデメリット【悲報あり】
本記事では「いま臨床で働いていますが、将来的には作業療法士養成校で働いて作業療法教育に取り組みたいです。これから作業療法教員になるメリットとデメリットを教えてください」という疑問に答えます
- 作業療法教員として働いてみたい
- 作業療法教員になるメリットとデメリットが知りたい
- 作業療法教員になる前に読むべき本があれば知りたい
作業療法教員になるメリットとデメリット以前に知っておくべきこと
「これから作業療法教員になりたいなぁ」と思っている人は、日本の人口動態を確実に理解しておくべきです。
以下の図は文部科学省の「高等教育の将来構想に関する基礎データ」から引用したものです。
これを見ればわかるように、主な受験人口は減り続ける一方なので、作業療法士養成校(大学、短大、専門学校)をとりまく社会情勢は国立、公立、私立を問わず基本的に超厳しいです。
しかも悲しいことに、ほとんどの作業療法士養成校(大学、短大、専門学校)は国公私立に関係なく、他分野(医師、看護師、理学療法士など)に比べて受験者数が少ないです。
作業療法士の社会的ニーズは増える一方で就職先はたくさんあるんですけども、作業療法士を目指す人が他の分野に比べてめちゃ少ないです。
なので、作業療法士養成校(大学、短大、専門学校)は国公私立に関係なく総じて「定員割れ」という問題に直面しています。
もちろん、一部の作業療法士養成校は多くの受験生を集めています。
しかし、それも上記の図を見ればわかるように、危機を迎えるのは時間の問題です。
これから作業療法教員になりたい人は、社会構造に大きな問題があるため「底に穴が空いている舟に乗るようなものだ」と思っておいた方がいいです。
その厳しさは半端なく、ぼくも個人の努力、才能、運ではどうにもならないと痛感しています。
さしあたり、ぼくは底に穴が空いている舟に乗り続けている船員みたいなもんで、もしかしたら真っ先に舟底から流れ出る恐れだってあるわけです。
以上を前提に、これから作業療法教員になるメリットとデメリットについて解説していきます。
これから作業療法教員になるメリット
これから作業療法教員になる主なメリットは以下の通り。
- その①:社会的共通資本の整備に貢献できる
- その②:作業療法の発展に貢献できる
- その③:未来の現場の問題解決に貢献できる
これを見ればわかるように、作業療法教員の仕事は基本的にやり甲斐があります。
上述した社会情勢の問題さえなければ本当にやり甲斐のあるいい仕事です。
その①:社会的共通資本の整備に貢献できる
作業療法を必要とするクライエントの存在を考えると、作業療法教育においてもっとも重要なことは優秀な作業療法士を安定供給し続けることです。
これが途絶えると、臨床現場はたちまち立ちゆかなくなり、クライエントが安心して生を真っ当することは不可能になってしまいます。
作業療法士は社会的共通資本であり、人びとの生活に欠かせない人的インフラです。
作業療法教員はその人的インフラの整備を支える仕事であり、人びとが安心して生きて死ねるための社会的共通資本の整備に貢献できます。
その②:作業療法学の発展に貢献できる
次に作業療法教員は作業療法学の発展にも貢献しやすい立場になります。
上記ともかぶりますが、作業療法教育の最重要課題は優秀な作業療法士を安定供給し続けることであり、それは自分よりも優秀な人間を送りだすという意味を含みます。
その結果として、次世代の作業療法士がイノベーションを引きおこし、作業療法学の発展をもたらす可能性を担保できます。
また、作業療法教員自身が研究活動を行い、作業療法学の発展に貢献できる可能性もありますね。
その③:未来の現場の問題解決に貢献できる
作業療法教員自身は非常勤で臨床に出ていても、できることは限られています。
けども、優秀な作業療法士を安定供給し続け、作業療法学の発展に貢献することによって、未来の現場の問題解決に貢献できる可能性を担保することができます。
いまの知識、技術では十分に対応できない問題でも、作業療法士のレベルが上がって、イノベーションを促進することができれば、将来的に対応できるようになるかもしれない。
作業療法教員にはその可能性の拡大に向かって常にチャレンジできるメリットがあります。
これから作業療法教員になるデメリット
これから作業療法教員になる主なデメリットは以下の通り。
- その①:ラットレースである
- その②:ハードゲームである
その①:ラットレースである
作業療法教員はぶっちゃけ努力が資産になりにくく、その一番の理由は上述した通り社会構造に大きな問題があるからです。
ただ、研究は唯一例外でして、これは個人の業績として資産になります。
研究が資産になる理由は、いま努力したことによって将来の可能性が広がるからです。
なので、これから作業療法教員になりたい人は大学、短大、専門学校に限らず研究に取り組んでください。
そういう意味では、作業療法士養成校(大学、短大、専門学校)で働くなら大学院で博士号を取るべきです(最低でも修士号)。
その②:ハードゲームである
作業療法教員の世界はわりと熾烈な競争社会です。
教育・研究で成果がでない人は誰にも相手にされず、底に穴の空いた舟から真っ先に流出します。
悲しいことに、運・不運という問題もありますので、どんなに競争社会で勝ち抜いていても舟底の穴から真っ先に流れ出る可能性もあります。
そういう構造なので、これから作業療法教員になりたい人は、基本的に休みなく戦い続けるしかなく、気を緩めると先がないと思っておくとよいです。
少しでも有利にハードゲームを戦うためには、武器を持った方がいいので、それについて知りたい人は以下の記事をどうぞです。
作業療法教員になる前に知っておくべき社会構造を学べるおすすめ本
ここまで読まれた読者は、素朴に「作業療法教員になりたい」ってだけでは生き抜くことさえままならない世界が広がっていると気づいたと思います。
作業療法教員になる前に、社会構造についてしっかり理解しておくべきだと思っておりまして、それを学べるおすすめ本は以下の通りです。
- フェルドマン博士の日本経済最新講義
- 未来の年表 人口減少日本でこれから起きること
- 未来の年表2 人口減少日本であなたに起きること
フェルドマン博士の日本経済最新講義
これは絶対に読むべきです。
日本の社会構造は「煉獄」 と表現されており、もう本当に厳しすぎるぐらい厳しい情勢であると理解できます。
これから作業療法教員になりたい人は「煉獄」を対面することになるので、作業療法教員としてどう適応していくかを本書で検討すべしです。
未来の年表 人口減少日本でこれから起きること
これもマジで読んだ方がいいです。
日本の社会構造がどう変化していくのかを見通すことができます。
これから作業療法教員になりたい人は、悪循環の中でどう適応していくかを検討しておきましょう。
未来の年表2 人口減少日本であなたに起きること
これも必読。
社会構造の変化にともなって、自身の人生に起こりうる事態を予測するのに役立ちます。
これから作業療法教員になりたい人は教員として変化に対応するだけでなく、自身の人生に降りかかる火の粉にどう適応するかも考えておきましょう。
まとめ:これから作業療法教員になるメリットとデメリット
本記事では「いま臨床で働いていますが、将来的には作業療法士養成校で働いて作業療法教育に取り組みたいです。これから作業療法教員になるメリットとデメリットを教えてください」という疑問に答えました。
作業療法教員は本当にやり甲斐のある良い仕事です。
けど、社会構造の問題が非常に大きいため、これから作業療法教員になりたい人は「底に穴が空いている舟に乗るようなものだ」と思っておいた方がいいです。
これは、作業療法士養成校(大学、短大、専門学校)であれば国公私立に関係なく妥当する問題です。
でも、作業療法を必要とするクライエントの存在を考えると、優秀な作業療法士を安定供給し続ける作業療法教育は不可欠です。
ぼくもそう思いさだめて、作業療法士養成校で奮闘しているので、これから作業療法教員になりたい人はともに頑張っていきましょう!
なお、大学教員になる方法は以下の記事で解説しましたので、こちらもあわせてご覧ください。