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作業療法士の需要が高まっている件【オーストラリアのお話】

京極真
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京極真
京極真

本記事では「作業療法士の需要について知りたいです。特に海外の作業療法士の需要はどうなっていますか」という疑問にお答えします

本記事の内容
  • 作業療法士の需要が高まっている件【オーストラリアのお話】
  • 日本の作業療法士の需要をさらに高める視点

本記事ではそんなぼくが、オーストラリアを例に作業療法士の需要についてさくっと解説します。

なぜオーストラリアなのかというと、某大御所先生がFacebookで紹介していたGrowing demand for occupational therapistsという記事を読んで面白いと感じたからです、笑。

作業療法士の需要が高まっている件【オーストラリアのお話】

結論から言うと、オーストラリアにおいて作業療法士の需要は高まっています。

上記のサイトによると、作業療法士の需要は2018年から2023年にかけて15%も伸びます。

理由のひとつは、作業療法士はその人らしい生活ができるように支援するからです。

Healeyさんのコメントで印象深い内容を意訳すると以下の通り。

  • 作業療法はクライエント中心の実践を推進する
  • クライエント中心の実践は、クライエントの経験、健康上のニーズ、目標を受け入れることであり、作業療法士はクライエントを個別に理解する役割がある
  • 作業療法では、クライエントを中心におき、クライエントが選択する機会を提供し、コントロールできる能力を身につける実践の重要性が高まっている
  • 作業療法士には日常生活のなかでクライエントの可能性を満たす役割がある
  • 作業療法士は、学校に行くこと、家事を行うことなど、クライエントにとって必要な作業をやり遂げるために安全で効率の良い方法を助言、支援する
  • 確実にエビデンスに根ざした実践を活用する など

何が印象深いかというと、コメントのなかに現代作業療法の原則がすべて反映されている点です。

現代作業療法の原則
  • 作業中心の実践
  • クライエント中心の実践
  • エビデンスに根ざした実践
  • 文化に適応した実践

この4つは、現代作業療法において基本中の基本だと考えられている原則です。

膨大な先行研究を通して、この原則から外れると作業療法がうまくできないと考えられるようになったわけです。

本記事で紹介しているGrowing demand for occupational therapistsは作業療法士向けの記事ではなく、一般向けに作業療法士という職業をアピールするものです。

一般向けに平易に語られている作業療法士という仕事の説明ですが、この基本中の基本からのブレがまったくない。

なので、「作業療法士って何の仕事なのかわからない」という混乱も生じないし、専門家として社会的な評価が高い状態が生まれやすいのだろうと思いました。

日本の作業療法士の需要をさらに高める視点

日本の作業療法士の需要も高まる一方です。

実際、大学で働いていますが、以前から今日までずっと病院、施設などの方々から以下のような相談を受けますので、作業療法士の需要の高まりは皮膚感覚レベルで感じます。

相談例
  • 求人を出しても作業療法士から応募がなく、採用したくてもなかなか採用ができない
  • 作業療法士を採用するにはどうしたらよいか
  • どこに行けば作業療法士を見つけられるか
  • 良い学生がいたら紹介してほしい。見学、採用試験は学生のスケジュールにあわせる
  • 友人・知人の作業療法士で移動を考えている人がいたら紹介してほしい など

だけども、日本の作業療法士の需要の高まりは、日本は高齢化の進行、病院から地域への移行などの社会構造の変化によるものです。

作業療法士という専門家の役割が、自他ともに鮮明だからこそ社会から求められている、というわけではないように、個人的には感じています。

日本の作業療法士の需要は今でも高いですが、それをさらに高めるためには、作業療法士の専門性を明確に打ち出し、多くの国民の健康と幸福の向上に圧倒的に貢献し、その価値が認められることによってさらに必要とされる、という良循環を生みだす必要があると考えています。

そうした観点でみると、日本の作業療法士は最初のステップである「作業療法士の専門性を明確に打ち出す」というところでつまづいているように思います。

まずは現代作業療法の基本中の基本である原則を理解し、自らの専門性を明確に打ち出し、クライエントの健康と幸福の促進に圧倒的に貢献し、その価値があふれでるようにして認められるようにしていきましょう。

作業療法士の需要が高まっている件【オーストラリアのお話】

本記事では「作業療法士の需要について知りたいです。特に海外の作業療法士の需要はどうなっていますか」という疑問にお答えしました。

結論を言うと、オーストラリアにおいて作業療法士の需要は高まっており、その需要は2018年から2023年にかけて15%も伸びます。

理由は、作業療法士はその人らしい生活ができるように支援するからです。

我々も作業療法の基本中の基本である原則を着実に実践し、クライエントの健康と幸福に圧倒的に貢献し、作業療法の価値が自他ともに認められるようにしていきましょう。

現代作業療法の原則
  • 作業中心の実践
  • クライエント中心の実践
  • エビデンスに根ざした実践
  • 文化に適応した実践

なお、作業療法の基本中の基本の原則は以下の記事で解説していますので、あわせてどうぞです。

著者紹介
京極 真
京極 真
Ph.D.、OT
1976年大阪府生まれ。Ph.D、OT。Thriver Project代表。吉備国際大学ならびに同大学大学院・教授(役職:人間科学部長、保健科学研究科長、(通信制)保健科学研究科長、他)。首都大学東京大学院人間健康科学研究科博士後期課程・終了。『医療関係者のための信念対立解明アプローチ』『OCP・OFP・OBPで学ぶ作業療法実践の教科書』『作業で創るエビデンス』など著書・論文多数。
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