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作業療法
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【初心者向け】作業療法士におすすめの研究テーマの決め方

京極真
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本記事では「作業療法士ですけども、これから研究していきたいのですが、研究テーマはどうやって決めたら良いですか」という疑問にお答えします。

本記事の内容
  • 作業療法士におすすめの研究テーマの決め方
  • 作業療法士が研究テーマを決めるコツ

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作業療法士におすすめの研究テーマの決め方

結論:研究テーマは作業に関連づける

結論から言えば、作業療法士として研究するならば、作業に関連づけた研究テーマにするとよいです。

作業とは人間の経験でして、行動、思考、感情の総体です。

作業の具体的な分類はいろいろありまして、OTPFでは以下を含むとしています。

作業の分類の例
  • ADL
  • IADL
  • 休息/睡眠
  • 教育
  • 仕事
  • 遊び
  • レジャー
  • 社会参加

作業療法士が研究テーマを決めるときは、健康、幸福、連携、環境などの要因と作業を関連づけていくとよいです。

研究テーマで作業に関連づける具体例

イメージを促進するために、ちょーざっくりとした具体例を示すと以下の通りです。

ちょーざっくりな具体例
  • 統合失調症のあるクライエントの社会参加と幸福感の関連性の検討
  • 抑うつ状態のあるクライエントの脳血流量に没頭する作業が与える影響
  • 脊髄損傷のあるクライエントのADL/IADLとQOLの関連性の検討
  • 脳血管障害のあるクライエントの麻痺の程度が作業機能障害に与える影響
  • 脳性麻痺のあるクライエントの幸福感と社会参加に対する環境調整の効果

実際のところ、研究テーマはもっと厳密に詰めるし、意義、新規性なども踏まえて決めなきゃダメですが、上記の例を通して作業と関連づけるイメージをもってもらえたらと思います。

研究テーマで作業に関連づけられないときは意義で結びつける

研究テーマの中で作業に結びつけることが難しければ、研究の意義のところで作業療法の発展への貢献という主張を明示したら良いです。

例えば、「チーム医療で生じる意見の対立が作業療法士の意志決定に与える影響」というテーマを設定したとしましょう。

この場合、研究テーマの中で作業との結びつきは明示しがたいです。

なので、この研究テーマで研究すると作業療法(作業を通して健康と幸福を支援するアプローチ)にどんなメリットをもたらすかを明確にするんです。

上記の例で言えば、意見の対立に対するロバストな意志決定の方法がわかるので、作業機能障害の軽減に向けてよりよい意志決定を実施しやすくなる、などと主張できるかもしれません。

作業との結びつけは、研究テーマに加えて、意義でもできると理解しておくとよいです。

それによって、作業療法の発展に貢献できる知識と技術を提供しやすくなります。

作業療法士が研究テーマを決めるコツ

作業療法士として研究するならば、作業に関連づけた研究テーマにするとよいですが、そもそも研究テーマはどうやって導出したらよいか、という問題があります。

基本的なコツは以下の通りです。

コツ
  • その①:課題に着目する
  • その②:先行研究の穴を見つける
  • その③:実現したい未来から逆算する
  • その④:直観する

その①:課題に着目する

研究テーマを決めるときは、課題に着目するとよいです。

課題とは解決が求められる問題でして、臨床、教育、研究で生じている対応すべき事柄を見つければよいです。

課題の多くは先行研究で解決済みだったりしますが、中には未解決の問題もあります。

未解決課題を見つけたら、それを研究テーマに昇華して研究を通して解いていけばよいです。

その②:先行研究の穴を見つける

先行研究の検討から限界を見つけて、それを克服する研究テーマを設定したらよいです。

検討する先行研究は最低でも日本語論文、英語論文です。

もしかしたらドイツ語論文、アラビア語露文などで解決済みかもですが、残念ながらほとんどの人は読めないでしょう。

なので割り切って、日本語論文、英語論文をあたっていき、未解決課題を見つけていきましょう。

その③:実現したい未来から逆算する

実現したい未来から逆算し、いま取り組むべき研究テーマを決めるというやり方もおすすめです。

例えば、2025年問題、2040年問題を見越して、少ない財源とマンパワーでも良質な支援を実施するためのシステを開発する、というのは実現したい未来からの逆算で導出できる研究テーマです。

絶対的な未来は予測不能ですが、人口動態など種々の社会条件から相対的な未来を予測することは可能です。

確からしい未来の予測から研究テーマを決めるという方法があると覚えておくべしです。

その④:直観する

研究テーマは直観、つまりセンスで決めるという方法もあります。

直観する研究テーマはたいてい既に解決済みか、ほとんどクソみたいな内容か、のいずれかです。

けども、たまに尖った研究テーマに出会えることがあり、作業療法学の発展に貢献できる研究に成長していくことがあります。

自身の直観を大切にしながら価値ある研究テーマを決めることもできるのです。

大学院での研究テーマについて以下の記事で紹介しています。参考にしてください。

まとめ:作業療法士におすすめの研究テーマの決め方

本記事では「作業療法士ですけども、これから研究していきたいのですが、研究テーマはどうやって決めたら良いですか」という疑問にお答えしました。

結論を言うと、作業療法士として研究するならば、作業に関連づけた研究テーマにするとよいです。

それによって、作業療法の発展に貢献しやすい知識と技術を作れます。

研究テーマが決まったら、それに適した研究法を選択する必要があります。

以下の記事ではそのコツをまとめているので、関心がある人はぜひどうぞです。

著者紹介
京極 真
京極 真
Ph.D.、OT
1976年大阪府生まれ。Ph.D、OT。Thriver Project代表。吉備国際大学ならびに同大学大学院・教授(役職:人間科学部長、保健科学研究科長、(通信制)保健科学研究科長、他)。首都大学東京大学院人間健康科学研究科博士後期課程・終了。『医療関係者のための信念対立解明アプローチ』『OCP・OFP・OBPで学ぶ作業療法実践の教科書』『作業で創るエビデンス』など著書・論文多数。
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