研究疑問を作る3つの手順【徹底解説】
本記事では「研究疑問が上手く作れないです。研究疑問を作る方法が知りたいです」という疑問にお答えします
- 研究疑問を作る手順が知りたい
- 研究疑問を作る際の注意点を教えてほしい
- おすすめ書籍が知りたい
研究疑問を作る3つの手順
手順は以下の通り。
手順①:臨床疑問を見つける
手順②:臨床疑問の種類を特定する
手順③:種類にあった研究疑問の構造で整理する
手順①:臨床疑問を見つける
臨床疑問は最重要です。
研究疑問は基本的に臨床疑問から作るので、臨床疑問を整理しないと研究疑問を作れないからです。
臨床疑問を見つけるコツは以下の通り。
- 対象者が困っていることに注目する
- 日々の臨床で自身や同僚が困っていることに注目する
- 先行研究の通りにならない出来事に注目する
- もっとよくしたいことに注目する など
例えば、意味のある作業へ参加することの効果がいまいちわからないと困っているならば、それは臨床疑問になる可能性があります。
手順②:臨床疑問の種類を特定する
次に臨床疑問の種類を特定していきます。
臨床疑問の種類によって、研究疑問の作り方が異なるからです。
臨床疑問の主な種類は以下の通り。
- 意味
- 介入
- 予防
- 予後
- 害
- 評価
- 実態
- 頻度
- 病因 など
上記の「意味のある作業へ参加することの効果がいまいちわからないと」という困りごとは、介入という種類に該当する可能性ありです。
手順③:種類にあった研究疑問の構造で整理する
臨床疑問の種類を特定したら、それにあった研究疑問の構造で整理するべしです。
臨床疑問の種類と研究疑問の構造の主な対応は以下の通りです。
- 質的研究(PEO)・・・意味
- 観察研究(PECO)・・・病因、頻度、実態、予後
- 介入研究(PICO)・・・介入、予防、害
- 尺度開発(PECO)・・・評価
- 混合研究(PECO/PICO)・・・すべて
基本はこの通りですが、PECOとPICOはCがないことがありますし、尺度開発はPECOで構造化しがたいことがある点に注意が必要です。
略語の正式名は以下の通り。
質的研究のPEO
- Participant
- Exposure
- Outcome
具体例は以下の通り。
- P:脊髄損傷をもつ若者
- E:脊髄損傷
- O:受傷から社会復帰までの体験
観察研究等のPECO
- Participant
- Exposure
- Comparison
- Outcome
具体例は以下の通り。
- P:脳血管障害をもつ高齢者
- E:FIMカットオフ以上
- C:FIMカットオフ以下
- O:BRS
介入研究のPICO
- Participant
- Intervention
- Comparison
- Outcome
具体例は以下の通り。
- P:感情調整困難をもつ青年
- I :マインドフルネス作業療法
- C:作業療法
- O:参加率、自傷行為回数
研究疑問を作る際の注意点
主な注意点は3つあります。
注意点①:倫理的である
注意点②:意義がある
注意点③:独自性がある
注意点①:倫理的である
研究疑問は倫理的であるべきです。
人類は非人道的な人体実験を行い、様々な悲劇を生みだしてきたからです。
例えば、ヨーゼフ・メンゲレの研究なんかは本当に悲惨です。
なので、研究倫理の遵守は徹底してください。
注意点②:意義がある
研究疑問は社会的な意義があるべしです。
研究は基本的に他者に対する贈与です。
なので、個人の臨床疑問からはじまったとしても、最終的には社会的な価値が求められます。
研究疑問を解くことによって、他者にどんなメリットがあるかをよくよく考えた方がいいです。
注意点③:独自性がある
また研究には独自性が必要です。
独自性を把握するには、以下の知見を整理すればOKです。
- 先行研究で明らかになったこと
- 先行研究で明らかになっていないこと
研究疑問に関連する先行研究について以上の2点を明らかにすれば、独自性を示すことができます。
研究疑問を作るために役立つ本【必読】
以下の2冊は必読です。
他は多読する必要はないので、上記の2冊をていねいに読めばOKです。
まとめ: 研究疑問を作る3つの手順
本記事では「研究疑問が上手く作れないです。研究疑問を作る方法が知りたいです」という疑問にお答えしました。
結論は以下の通りです。
手順①:臨床疑問を見つける
手順②:臨床疑問の種類を特定する
手順③:種類にあった研究疑問の構造で整理する
本記事が研究疑問の作成で困っている人の役にたてばうれしいです。
また、研究テーマが決まらなくてお困りの方は以下の記事も参考にしてください。