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【体験談】ぼくが作業療法士になって精神科を選んだ理由

京極真
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京極真
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本記事ではよく聞かれる「京極先生は作業療法士になったときに、どうして精神科作業療法を選んだのですか」という質問にお答えします

ぼくが作業療法士になって精神科を選んだ理由

結論:精神科が作業療法のルーツだから

結論を言うと、ぼくが作業療法士としてのキャリアを精神科からはじめた理由は、作業療法のルーツが精神科にあるからです。

作業療法の専門家になるには、ルーツからはじめた方が効率的だと思ったからです。

具体例

「精神科でいこう!」と思ったのは、作業療法がルーツを見失うとアイデンティティクライシスに陥ると気づいた3年生のころです。

当時、学生ながら作業行動、作業科学にハマっていて、Kielhofnerの作業療法の歴史分析の研究論文を読みました。

その研究論文はかなり衝撃的でして、作業療法士として成長するにはルーツを反映できる現場で働いた方がいい、、、と思ったのでした。

こんな感じで、ぼくが精神科を選んだ理由は作業療法のルーツだからです。

よくある疑問:他の領域に興味なかったの?

疑問

他の領域に興味なかったの?

結論をいうと、もちろんありました。

解剖学、生理学、運動学などが面白かった、、、というのもあって、一時期は身体障害領域もよいかも、、、と思っていました。

具体例

身体障害領域の作業療法は楽しくて、よく実技の練習など自主的にしていました。

実習なども身体障害領域に行かせていただいたのですが、当時は精神障害領域に比べると作業なんてほぼ皆無でして、これなら最初から理学療法士を目指した方がいい、、、と思ったんですよね。

結局、作業療法士なんだからまずは作業療法を極めよう、、、と思って精神科に進みました。

このように、迷うこともあったんですけども、やっぱ作業療法士が作業療法を身につけるには精神科からはじめた方がいいでしょ、、、という結論に変わりなかったです。

精神科で作業療法士をはじめたのに、信念対立解明アプローチなど様々なテーマに広がったワケ

結論:しんどかったから

疑問

作業療法を極めるために精神科作業療法でキャリアをスタートしたのに、なぜ信念対立解明アプローチとか、研究方法論などにもテーマが広がったのか?

結論を言えば、しんどかったからです。

作業療法士として精神科で働きはじめたら、想像以上にさまざまな問題があることに気づいたため、それに対応しているうちにテーマが広がっていきました。

つまり、精神科は作業療法のルーツだ、、、といっても、現実は本当にいろいろな制約があって、思うようにいかないことが多かったのです。

具体例

ぼくが精神科で作業療法士のキャリアをスタートさせたときに、最初につまずいた問題が「信念対立」でした。

1人ひとりはよい人だし、皆それぞれ患者にとってよいことしたい、と思っているのに、実際に連携しはじめると意見が鋭く対立するばかりで、めちゃくちゃ消耗しました。

これはどうにかしないといけない、、、と真剣に悩んで、結果として信念対立解明アプローチの開発に舵を切ることになりました。

こんな感じで、作業療法のルーツである精神科で働くのは想像以上にハードだったので、それを根本から解消するために奮闘し続けたところ信念対立解明アプローチなどいろんなテーマを走らせることになりました。

よくある疑問:作業療法のルーツである精神科で働いて得たものは?

疑問

作業療法のルーツである精神科で働いて得たものは?

結論をいうと、作業を通した精神的健康の改善への探究心、、、かなぁと思っています。

少しでも心が軽くなる状態を、作業で創ることの重要性に気づいたからです。

具体例

心の不調って先に作業(仕事、遊び、日課、休息)の問題から起こることが多いです。

そして、作業の不調から心の病が生じると、今度は心の病がさらに生活へのダメージを生み、、、というように悪循環に陥るわけです。

なので、作業=生活を整えることによって、精神的健康の状態を健やかにできるようにしたい、という確信を持つようになりました。

こんな感じで、作業療法のルーツである精神科でキャリアをスタートさせたからこそ、作業で精神的健康を改善するという意識は強くなったかな、、、と思っております。

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作業療法士として精神科で働きたい人は、以下の三冊は必読です。

精神障害と作業療法【新版】

おそらく日本で最も読まれている精神科作業療法の決定版。

基本的なことはこれ1冊読み込めばOK。

精神科で働きたい作業療法士は必ず読むべし。

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ICD-11が発表されましたが、日本語で読める書籍はまだないので、ICD-10を読んでおけばOK。

作業療法は作業を通して精神的健康を改善するアプローチです。

なので、ICD-10で精神障害の理解は必須です。

医療関係者のための信念対立解明アプローチ

作業療法士が精神科で働くと信念対立で苦労します。

なので、その対策である信念対立解明アプローチの理解は不可欠です。

信念対立を低減しつつ、作業で精神的健康の改善を促進すべし。

まとめ:ぼくが作業療法士になって精神科を選んだ理由

本記事ではよく聞かれる「京極先生は作業療法士になったときに、どうして精神科作業療法を選んだのですか」という質問にお答えしました。

結論を言えば、ぼくが作業療法士としてのキャリアを精神科からはじめた理由は、作業療法のルーツが精神科にあるからです。

とはいえ、想像よりもしんどかったので、信念対立解明アプローチなどいろんなテーマで取り組むことになりましたけどね。

著者紹介
京極 真
京極 真
Ph.D.、OT
1976年大阪府生まれ。Ph.D、OT。Thriver Project代表。吉備国際大学ならびに同大学大学院・教授(役職:人間科学部長、保健科学研究科長、(通信制)保健科学研究科長、他)。首都大学東京大学院人間健康科学研究科博士後期課程・終了。『医療関係者のための信念対立解明アプローチ』『OCP・OFP・OBPで学ぶ作業療法実践の教科書』『作業で創るエビデンス』など著書・論文多数。
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