【朗報】作業療法士は人気の職業!ただし、アメリカのお話という件
本記事では「全国の作業療法士養成校は定員割れの危機にあると聞きました。作業療法士って世界的にみても人気のない職業なんですか」という疑問にお答えします。
- 作業療法士は人気の職業!ただし、アメリカのお話という件
- アメリカで作業療法士が人気の理由
- 日本の作業療法士の人気も高めよう
作業療法士は人気の職業!ただし、アメリカのお話という件
結論から言うと、作業療法士の人気は、日本国内ではいまいちパッとしませんが、発祥の地であるアメリカではかなり人気です。
「アメリカ=世界」というわけではまったくないですが、アメリカは世界最大の作業療法士数でして、しかも作業療法発祥の地ですから、上記の問いに対してそこを指標に答えるのは妥当だろうと考えています。
さて、Glassdoorという世界最大規模の求人サイトでThe Best Jobs in America 2019が発表されました。
The Best Jobs in America 2019は、アメリカにおける何百万もの仕事を以下の基準で評価し、50の最高の職業を特定したものです。
- 給与
- 職業満足度
- 求人数 など
上記の評価基準で検討したところ、50の最高の職業が特定され、そのうちトップテン入りしたのは以下の通りです。
- Data Scientist
- Nursing Manager
- Marketing Manager
- Occupational Therapist
- Product Manager
- Devops Engineer
- Program Manager
- Data Engineer
- HR Manager
- Software Engineer
(参照元)
驚くことに、作業療法士は最高の職業ランキングで4位に位置しています。
2017年は12位でしたので、ここ数年で大きく飛躍したことになります。
アメリカの作業療法士は着実に成果をだしていますね。
素晴らしいと思います。
アメリカで作業療法士が人気の理由
再掲になりますが、最高の職業は以下の基準で選ばれます。
- 給与
- 職業満足度
- 求人数 など
もう少し説明すると、最高の職業に選ばれるには、高いスキル(創造力、判断力、適応力)が求められ、AIによる自動化によって淘汰されない、ということが重要なポイントになってくるそうです(参照元)。
作業療法士という職業には専門性の高いスキルが必要で、しかもAIに淘汰されないと判断されているということです。
現在、アメリカで作業療法士になるには、最低でも修士号が必要でして、2027年には最低でも博士号が必要になります(参照元)。
つまり、作業療法士は超高度な専門職として位置づけられているわけです。
そりゃ、高スキル&AIに対するロバスト性という条件を満たすと判断されますよね。
また、職業満足度は5点中4点です。
データサイエンティストなどの職業に比べても遜色ない満足度です。
高度な専門家として十分評価されやすい労働環境が整っているのでしょうね。
そして、アメリカの作業療法士の年収の中央値は74,000ドルでして、現在の為替レート(1ドル109.82 円)で日本円に計算すると約812万円です。
上記のサイトに平均年収が記載されていなかったので、別のサイトを調べたところ、アメリカの作業療法士の年間平均所得(2017年5月時点)は84,640ドルであり、現在の為替レート(1ドル109.82 円)で日本円に計算すると約929万円です(参照元)。
アメリカの平均年収は43,556ドル(1ドル109.82 円で円換算すると約478万円)だそうです(参照元)。
そう考えると、作業療法士の年収は平均年収の約2倍あるので、仕事の内容から考えるとわりの良い業種になると思います。
そりゃ「作業療法士になろう!」と思っちゃいますよね。
日本の作業療法士の人気も高めよう
世界の作業療法士数をみると、日本の作業療法士数はアメリカに次いで世界第2位の規模です。
だから、追いつけ!追い越せ!と頑張っていけば、日本の作業療法士も遠からずアメリカの作業療法士のように最高の職業で勝ち抜けるんじゃないか、と思いがちですが、現状は多くの作業療法士養成校が定員割れの憂き目にあっており、一般国民に最高の職業の上位にランクインするとは思われていない状況です。
ぼくは作業療法学の博士号をとるぐらい作業療法士という仕事に重要性を感じているので、日本の作業療法士も人気ある職業になってほしいと願っています。
その戦略として、アメリカの作業療法士がやっているように、超高度な専門職として作業療法を高めていく必要があると思っています。
現状、日本の作業療法士養成校は大学、短大、専門学校が入り乱れていますが、最低でも大学という基準にした方がいいです。
で、その後に最低でも修士、最低でも博士と基準を上げていき、社会的地位の向上に努めていく必要があります。
日本は一度走り出した社会制度を変えない文化なので、この変化はぼくが生きている間には無理かもしれません。
なので、現実的なソリューションとしては、大学院教育の活用が推奨されることになるわけです。
これなら、作業療法士になった後に修士号→博士号へと展開することができ、そういう人が増えれば、結果として社会的に見ても超高度専門職というポジションが得られる可能性があります。
ただし、日本とアメリカは社会構造がかなり違うので、日本のそれにあわせた戦略も必要です。
一番の違いは「人口減」です。
日本もアメリカも高齢化しつつありますが、日本は人口減、アメリカは人口増している点でまったく異なっています。
人口が減るとデフレ圧力大、人口が増えるとインフレ圧力大になります。
前者は経済全体が縮小し、後者は経済全体が拡大します。
作業療法士の人気を高める戦略を考えるには、こうした社会構造の問題を前提にやっていくしかないです。
具体的には作業療法士の魅力的なキャリアパスを増やすこと。
これに尽きると思いますが、これもまた難題山積で個人的には探索を続けていますが、すぐにどうにかできる気はしないですね。
しかし、日本の作業療法士も最高の職業の上位に入るぐらい評価されるようにならなきゃ世界第2位の規模のポジションが泣きますよ。
まとめ:作業療法士は人気の職業!ただし、アメリカのお話という件
本記事では「全国の作業療法士養成校は定員割れの危機にあると聞きました。作業療法士って世界的にみても人気のない職業なんですか」という疑問にお答えしました。
結論を言うと、作業療法士の人気は、日本国内ではいまいちパッとしませんが、発祥の地であるアメリカではかなり人気です。
作業療法士という職業は魅力的なので、日本でもそれが認知されるように頑張っていきましょう。